地域おこし協力隊は、国が行っている「地方創成」の一環として開始された制度です。
ですが、「地域おこし協力隊」のことを詳しく知っている人は少数なのではないでしょうか?
そこで今回は地域おこし協力隊のことについて、募集要項や仕事内容、メリット・デメリットまで詳しく解説していきます。
少しでも地域おこし協力隊に興味がある方は、ぜひ最後までご覧になってください。
- 地域おこし協力隊とは、都市部から地方へ各自治体からの要請で、当該地域の活性化や復興に尽力するための人材である。
- 国からの補償もあり、月の給料は20万ほどであることが多い
- 任期満了後は、約60%の隊員が当該地域へ定住。そのうち半数が起業などをして、地域の復興に尽力している。
まかやん
- 東京都出身30代会社員
- 移住に伴いフリーランスへ転身
- 移住に伴うノウハウを発信
- 詳しいプロフィールはこちらへ
- X(旧Twitter) @makayanman
地域おこし協力隊とは?簡単に解説
まず、最初に地域おこし協力隊の解説です。
地域おこし協力隊とは、都市部の人口密集地域から地方へ移り住み、地域に貢献するために働くことです。(国からの補助金でサポートあり)
「地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。」
引用元|総務省
総務省の言い方だと分かりづらいので、簡単に説明すると
お金を払うから、都市部から移住して地方で働いてくれない?
お金をもらえるのであれば、いきまーす。
お金払ったんだから、当該地域の活性化のために働いてくださいね。
了解しました。
このようなイメージで捉えてもらって大丈夫です。
続けて、ポイントが書いてあります。
引用元|総務省
- 自分の経験・能力を活かした地域活性化の仕事に就きながら、理想とする暮らしや生きがいを見つけることができます。
- じっくりと時間をかけて仕事や住居等の、定住に向けた準備ができます。(任期後の定住率 約70%)
- 国・自治体等によるサポートが充実しています。
- 令和5年度末時点では、10代から60代以上までの幅広い年齢層の総勢7,200名が、移住・定住、観光、商品開発の販売、地域コミュニティ活動、漁業・水産業、農業・林業、環境保全、医療・保健、デジタル、教育・文化、スポーツ等の幅広い分野で活躍しています。
これも簡単に解説すると、
移住するつもりだったら地域おこし協力隊として地方に移住しに来てよ
わかりました!地域おこし協力隊になって移住します!
1年〜3年の間に自治体とうまいことやって、仕事を見つけてくださいね。
了解しました!任期満了後に移住するつもりで頑張ります!
少し重複する部分もありますが、あらかたこのような感じです。
最初はこのような感じで地域おこし協力隊になるひとがほとんどですが、
すべての人が定住するわけではありません。
任期満了後は約60%の人が定住。
そのうちの半分の人が起業や独立をするというデータが残っています。
ですので、地域おこし協力隊なった人の中でも40%の人は定住せずに、任期満了後その土地を離れる人がいるという結果に。
この数字はそれなりに多いと思うので、一つの参考までに考えてください。
地域おこし協力隊の給料
次に地域おこし協力隊の給料について紹介していきたいと思います。
まず最初に結論をいうと、
「月額約16万6千円から22万5千円の間」です。
明確な金額が国から示されて、
地域おこし協力隊の給料はこの金額ね!
と決まっているわけではないです。
各自治体によって活動経費や報償費等が異なるので、これだけの大きな幅が出てしまいます。
なぜこれだけの幅が出ているのか、簡単に解説していきます。
もし、この解説が必要なければ、こちらをクリックしていただければ次の見出しまでスキップしますので、こちらからどうぞ。
総務省が定める隊員1人あたりの経費
地域おこし協力隊1人に対して総務省が定ている経費は以下の通りです。
経費の内訳 | 経費金額 | 経費の使途 |
---|---|---|
報償費 | 280万 | 実質的な給料 |
活動経費 | 200万 | 家賃・車の借上費 消耗品や作業道具の経費 定住に向けて必要となる研修 資格取得等に要する経費 |
これをみて感じるのは、
報償費(給料)が280万なら12で割って23万3千円だろう!
と言いたくなります。
ですが、当初の制度では報償費の上限が200万だったのです。
この200万を12で割ると、
200(万円) ÷ 12 (ヶ月)= 16.66666…
このとおり、月額で最低ラインになっている16万6千円になります。
「当初」と表現したのは、その制度が徐々に緩和されて来ているからです。
現在の制度だと、段階的に報償費が引き上げられているので、約23万の報償費を得ることができます。
各自治体によっての具体的な金額は変わってくるんだね。
各自治体によって給与の金額が変わるのもありますが、地域おこし協力隊には雇用形態が二つあります。
- 個人事業主型
- 雇用型
この二つ違いによっても、給与の手取り額も変わっていきます。
社会保険や厚生年金など各種税金などの天引き額が変わるので、
一概に月額◯◯円だよ!と、言い切れないケースがほとんどです。
ですので、ご自身で移住したい場所や雇用形態などしっかりと検討を重ねて、地域おこし協力隊に応募するのが最善かと思います。
この雇用形態については後ほど詳しく解説するので、すぐに見たい方はこちらからどうぞ。
- 隊員1人につき、年間で480万円国から使われる
- 制度が始まった当初は、約16万円の給料だった
- 今の制度だと、約23万もらえることもある
- 雇用形態によって、社会保障や税金の形が変わる
地域おこし協力隊の募集要項
次に解説するのは、地域おこし協力隊の募集要項です。
どんな方が地域おこし協力隊になれるのかを説明しします。
誰でも地域おこし協力隊になれると言うわけではなく、ある一定の条件があります。
地域おこし協力隊になるための条件としては、
- 三大都市圏(東京、大阪、愛知近隣)やその他都市圏、政令指定都市に居住
- 任務先が決まった際には、住民票を移動できる
この二つが条件です。
ですので、地元を盛り上げたいからといって、その当該自治体に住んでいる人がすぐに「地域おこし協力隊」になることはできません。
ですが、一度地元から離れて東京の大学にいったり、就職をしたあとUターンをして地域おこし協力隊になるという選択肢があります。
地域おこし協力隊インターン
地域おこし協力隊インターン制度は、地域おこし協力隊に本応募する前に体験できる制度です。
いきなり地域おこし協力隊になるのはちょっと不安……
なにをやるのか実際にやってみてから検討したい。
など一度実務体験をして、どのような形で地域への貢献をするか確認ができるのが大きなメリットです。
インターン体験とは別に、お試し体験というさらに短い期間の体験をすることもできます。
地域おこし協力隊インターン制度 | おためし地域おこし協力隊 | |
---|---|---|
活動期間 | 2週間〜3ヶ月 | 2泊3日〜 |
活動 | 実際の隊員がする業務 | 地域協力活動の実地体験 |
住民票の移動可否 | 住民票は異動しなくてOK | 住民票は異動しなくてOK |
表で比べてみるとこのような感じです。
インターンは実際に隊員がやる業務にくらべて、お試し協力隊は地域協力活動の実地体験なので、
実際の業務とは違うことをやる可能性があります。
ですが、その土地との相性だったり、担当者などに会えるのは大きなメリットと言えるので、
協力隊を検討しているのであれば、体験してみるのも一つの手だと思います。
検討している自治体に、一度問い合わせをしてみるといいよ!
地域おこし協力隊の仕事内容
いままでは地域おこし協力隊の概要について説明してきましたが、
ここからは大事な仕事内容について解説していきます。
地域おこし協力隊の仕事内容は地域によってさまざまな特色があります。
主な仕事は、地方自治体やその他のステークホルダーと協力して、地域への協力活動を行うことです。
ステークホルダーとは?
ステークホルダーは、企業が経営をするうえで、直接的または間接的に影響を受ける利害関係者のことです。
地域おこし協力隊の場合は、企業ではなく自治体(行政)なので、自治体に深く関わっている地元で重要な人物ということになります。
これだけ聞いてもなんのこっちゃ?みたいな感じだと思うので、ざっと各地域での仕事内容を挙げます。
- 農畜産業、林業、漁業
- 観光や地域特産品の商品開発
- 地域のPR活動
- マーケティングや集客などのイベント企画
- 地域の自然保護や環境保全
- 伝統技術の継承
- 不動産活用、空き家・空き店舗問題の解決
このようにさまざまな形で当該地域に携わり、貢献していくことになります。
その中で地域おこし協力隊として仕事をするにあたって、三つのスタイルでの雇用形態に分かれます。
その三つのスタイルとは、
- フリーミッション型
- 個人事業主型
- 雇用型
それぞれ簡単に説明していきます。
フリーミッション型
フリーミッション型は、最も自由度の高い雇用形態です。協力隊員自身が地域の課題を見つけ、その解決に向けて主体的に活動を展開していきます。
例えば、地域の特産品を活用した新商品開発や、空き家を活用したコミュニティスペースの運営など、自分のアイデアや経験を活かした活動が可能です。
ただし、自由度が高い分、自己管理能力や企画力が求められます。
これまでの経験やスキルを存分に活かせる形態だね!でも計画性を持って行動することが大切だよ。
個人事業主型
個人事業主型は、自治体から業務委託を受ける形で活動する形態です。
フリーミッション型に似ていますが、より事業性を重視した活動が特徴です。
活動内容は契約時に定められた範囲内で行うことになりますが、将来的な起業や事業化を見据えている方に適しています。確定申告など、事業主としての責任も伴いますが、その分経営感覚も身につきやすいでしょう。
任期満了後、起業を目指している人は、この「個人事業主型」での隊員となることをお勧めします。
雇用型
雇用型は、自治体の非常勤職員として任用される形態です。最も一般的な雇用形態で、比較的安定した環境で活動できます。
決められた業務内容や勤務時間の中で活動することになりますが、社会保険や労働保険が適用されるなど、福利厚生面でのメリットがあります。また、行政との連携がスムーズに行いやすいという特徴もあります。
安定志向の人におすすめ!行政の仕組みも学べるのが魅力だよ。
以上が各種3つの雇用スタイルになります。
現役の地域おこし協力隊隊員のかたがどのような仕事をしているか、集めた記事があります。
▶︎全国協力隊リレー記事
こちらをご覧になれば、ある程度イメージが掴めるかと思うので、ご覧になっていってください。
地域おこし協力隊で副業はできる?
地域おこし協力隊をやりながら副業ができるのか?という疑問を持つ方もいらっしゃいますよね。
この質問に対する答えは、「各自治体による」ということです。
なぜこのような答えになるかと言うと、雇用形態によって異なるからです。
個人事業主型の方は、副業をすることは自由なのですが、雇用型とフリーミッション型の人は「地方公務員」として働くことになります。
そうなることで、地方公務員法に記述してある「営利企業への従事等の制限」によって、副業ができないということもあり得ます。
各自治体によって副業の扱いは異なるので、副業をする場合は任命された自治体へ確認の連絡をすることが無難でしょう。
間違っても黙って副業をしてはいけないよ!
移住後に実際あったトラブル
地域おこし協力隊の活動をしていく上で、トラブルが起こることは絶対にないとは言い切れません。
インターネットで調べてみると、多くのネガティブな記事だったり、
あまりよく思われないような記事がいくつもあったり……
トラブルのあった事象やさまざまな記事を見ましたが、どの問題も難しいことではあります。
一概にどちらかが悪い、悪くないだけで済ませられる問題ではないと思います。
もちろんどちらかが圧倒的に悪いパターンもあると思います。
例えば、
- 自治体側がパワハラ・モラハラまがいのことをする
- 自治体の担当者が女性隊員にセクハラをする
- 隊員側がなんの相談もなく、いなくなってしまう
- お互いのコミュニケーションがすれ違い、人間関係が修復できないところまでいってしまう
- 隊員側が自治体からのプレッシャー(期待に)耐えられなくなる
など、例を挙げればキリがありません。
これから地域おこし協力隊になる方が、出来る限りトラブルに巻き込まれないようにするためには
こういった悪い例や、良い例をしっかりと把握することが大切です。
地域おこし協力隊の任期後はどうなる?
冒頭でも書きましたが、地域おこし協力隊の任期後は、約60%の人が当該地域へ定住することが数字の上でも見てとれます。
そして、そのうちの約半数が起業や独立など、自身の事業を始め新たな道へ進む決断をしています。
逆に約40%の人が、定住せずに地域を離れる決断をしています。
この数字はかなり多いと、ぼくは感じます。
なぜなら、1年〜3年前に地域おこし協力隊の隊員となり、都市部から地方へ移住する!と、決意したのにも関わらず、約4割の人が隊員の任期満了後に別の地域へ引越しをする。
という決断に至ったということです。
この数字の中には自治体とのトラブルがあったり、各自のやむえない事情があったりするとはいえ、見過ごしてはいけない現実だと思います。
とはいえ大半の人は、地域おこし協力隊の隊員となった自治体に残るのという判断をしています。
これから隊員になろうとしている人は、ぜひこの定住する側になってほしいと願います。
これから地域おこし協力隊になろうと考えている方へ
地域おこし協力隊になろうと考えていることは、素晴らしいと思います。
ですが、みなさんが思っている以上に大変なことをしなければなりません。
冷静に考えてみると、地域おこし協力隊になるということは、
- 見知らぬ土地での転職(新しい仕事)
- いままでの環境とは違う場所への引越し
- 誰も知らない環境からの人間関係構築
これらのことを、すべて同時並行にやらなくてはなりません。
どれか一つだけでも気苦労するのがわかるのに、全部同時にです。
生半可な覚悟では、できないと思います。
おそらくトラブルが多いと言われているのは、
こういった現実的なことを何も知らずに、隊員になったあとに、
こんなはずではなかった……。
と後悔するひとが多いのでしょう。
この問題は、安易に隊員になろうとした人にも責任もあるし、大きく間口を広げている自治体側、大きく言えば国側にも責任があるとぼくは考えています。
ぼくは地域おこし協力隊になろうと考えている人を、脅したいと思っているわけではありません。
ただ、1人でも多くの地域おこし協力隊の隊員がトラブルなく、地方のため、日本という国のために働いてほしいと考え、こういった発信をしています。
地域おこし協力隊とは?〜まとめ〜
以上が、地域おこし協力隊の解説になります。
最後に簡単におさらいをしましょう!
- 地域おこし協力隊とは、都市部から地方へ各自治体からの要請で、当該地域の活性化や復興に尽力するための人材である。
- 国からの補償もあり、月の給料は20万ほどであることが多い
- 任期満了後は、約60%の隊員が当該地域へ定住。そのうち半数が起業などをして、地域の復興に尽力している。
最後になりましたが、ぼくも地方移住をする予定でいます。(2024年12月現在)
地域おこし協力隊にはなりませんが、地方での生活を身をもって体験することになるでしょう。
そんなぼくの状況を知りたいよ!という方がいらっしゃったら是非ともSNSのフォローよろしくお願いします。
X 地方移住ブロガー兼ライター
まかやん(@makayanman)
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント